WORKS

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2026.04

Renovation / Reform

【施工事例】想い出の婚礼ダンスを活かす。着付けのための着物収納リノベーション

閑静な住宅街に建つ、重厚感のある3階建て住宅。広々とした玄関には季節の生け花が飾られ、丁寧に暮らしを楽しまれているF様が、わんちゃんとお一人でお住まいです。今回ご相談いただいたのは、7.5帖の洋室。お施主様とご姉妹が着物の着付けに使うお部屋で、「着物を整えて収納し、もっと着る会を増やしたい」という想いをお持ちでした。婚礼ダンスと造作の着物収納が混在して雑然としていた空間を、すっきりと美しく整えるリノベーションです。

間取り・意匠の工夫
ご要望の軸は、着物を丁寧に、整然と収納できること。まずは費用を抑えつつ、着物に適した収納量と使い勝手を両立する計画を立てました。既存の壁面収納は部材をできる限り再利用できるよう、解体後の状態を見ながら緻密に検討。収納内部の高さはお施主様の身長に合わせ、日々の出し入れが無理なく行える寸法に整えています。
また、着物収納だけでなく、洋室全体のレイアウトも見直し、着付けの練習がしやすい“余白”を確保。収納量を増やす一方で、空間を狭く感じさせない配置としました。工事途中では、解体後にRC躯体が露出し断熱材や天井仕上げがない状態であることが判明。現場状況に合わせて納まりを調整しながら、仕上がりの品質を確保しました。

デザイン・意匠の工夫
今回の見どころは、思い入れの深い婚礼ダンスを「捨てずに活かす」こと。ご両親から贈られた婚礼ダンスは、処分するには忍びない存在でした。そこで、彫刻が美しい扉の一部を新しい収納扉へリメイクし、空間のアクセントとして取り入れています。
一方で、リメイク部材と新設扉がちぐはぐにならないよう、色味や質感のつながりを丁寧に検討。既存のインテリアに馴染む配色でまとめ、違和感のない一体感をつくりました。さらに、既存の収納部材も新しい造作収納へ数多く組み込み、数十年前の部材とは思えないほど美しい桐の木目を、これからの暮らしに引き継いでいます。
施工中には、もうひとつ印象的な出来事がありました。解体した箪笥の裏側に触れた職人が「これ、おやじの仕事だ」と気づいたのです。数十年前に造作された壁面収納が、実は当社の職人の父親の作品だったことが分かり、現場にいたお施主様も驚かれました。手仕事の記憶を受け継ぎながら、今の暮らしに合う形へと整える。今回の工事は、そんな時間のつながりも感じられる現場となりました。
完成した壁面収納は、想像以上の収納量がありながら、見た目にも美しくすっきりとした仕上がりに。リメイクした婚礼ダンスの扉は素敵なアクセントとなり、想い出の品を機能的に残すことができたと喜んでいただきました。完成時期がお母様の命日に近く、「お母ちゃん、婚礼ダンスの扉を素敵に使ってもらったよ」と仏前に報告します、と目を潤まされたご様子も忘れられません。
STI.Lでは、今あるものの価値を見極め、暮らしに合う形へと整える提案を大切にしています。収納のお悩みや、想い出の品を活かしたリノベーションをご検討の方は、どうぞお気軽にご相談ください。